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白い指先と甘い吐息
第9章 引き寄せあう心
いっそこのまま五十嵐とつきあったら楽になるかな。

貴史さんを忘れるためにはそれが一番いいのかもしれない。


無理に自分に言い聞かせたが、五十嵐の唇が触れた瞬間、嫌悪感で鳥肌が立った。

「ごめんなさい、私やっぱり無理」

そう言ってなつみは五十嵐から走って逃げた。

五十嵐の唇が触れたと思うだけで

自分がけがれた気がして何度も何度も口をぬぐった。

貴史の顔が浮かんで、涙があふれた。



細い道から大通りに飛び出したなつみは、走ってきたバイクと接触した。
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