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第1章 拉致

僕は、ごく普通のサラリーマン。

ようやく仕事が終わって、明日からしばらくの休みだ。

これまで、大きなプロジェクトを担当していて、休みなんか全然なかった。

そんなプロジェクトも成功裏に終わり、明日からまとまった休みがもらえた。

身体は疲れているが、気分はいい。

会社近くのレストランで食事をして、行きつけのバーに入った。

そこで、ウイスキーを少し飲んで帰るというのがいつものパターン。

バーのマスター「お仕事、お疲れ様でしたね。明日からしばらくお休みなんですってね」

僕「でも、することがなくって。ゆっくりと休んで体力回復ってところかな」

マスターとたわいもないことを話す。

しばらく飲んでいると、一人の女性が声をかけてきた。

少し憂いが漂う美少女という感じの子である。

そんな彼女の雰囲気は、このバーには似つかわしくない。

女性「お、おひとりなんですか？」

僕「あ、はい。」

彼女は小柄で華奢なキュートなタイプ。

名前は「ナナ」というらしい。

そんな子が、ひとりでバーにいるなんて、場違いで、なぜなんだろう、と思った。

そういう自分も、どちらかというと、年より若く見られるタイプ。

自分だって、このバーには似つかわしくないのかもしれない。

しかし、急にこんなキュートな女の子に声を掛けられて、かなりあせってしまった。

そんなナナという女の子と、しばらく、ぎこちない会話をしていると、思わぬ言葉を耳にする。

ナナ「場所を変えて一緒に飲みませんか？」

僕「え、私がですか？あなたと？」

ナナ「ご都合悪いですか？」

都合が悪いどころか、今夜も明日以降も全然予定がない。

僕「いえ、そんなことはないです。」

ナナ「じゃあ、行きましょう、さぁ。」

僕は、ナナに手を引かれるようにして、店を出た。