この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
虜 ~秘密の執事~
第1章  

「いやぁ――っ!!」
 
絶叫して飛び起きた椿は、瘧に罹ったようにぶるぶると震えていた。

全身から冷や汗が吹き出し、ネグリジェの中を気持ち悪く伝い落ちていく。

しんと静まった部屋には、椿の荒い息遣いだけが響いていた。

椿はやっと自分の置かれている状況を把握し、深く息を吐く。

(夢……)

「………っ」

最後に見た男の顔を思い出し、椿の喉が詰まる。

大きな両目からはぼろぼろと涙が零れ落ち、嗚咽が漏れる。

「さかき……さかきぃ……」

そう愛しい人の名を呼んだ時、

「お嬢様……」

控えめに響く、テノール。

榊は寝室の入り口に直立不動で立っていた。

椿は救いを求める様に、細い両腕をめい一杯榊へと伸ばす。

(助けて――!)

その言葉が聞こえたかのように、榊は椿の元へ走り寄りその細い体を抱きしめた。

「汗をかかれていますね……怖い夢でも見られましたか……?」

ぐっしょりとネグリジェを濡らし小刻みに震え続ける椿に、榊が静かに語りかける。

榊が呼吸をするたびに上下するその逞しい胸に、椿は必死にしがみつく。

「さかきぃ……」

しがみついて離れない椿の長い髪をそっと撫でると、榊は軽々と椿を横抱きにして持ち上げた。

「このままでは風邪をひきます。シャワーを浴びましょう」

浴室に運び込まれた椿は身体に張り付いたネグリジェを脱がされ、猫足のアンティークの浴槽の中に座らされた。

ジャケットを脱いで手袋を外した榊が、シャワーヘッドを使い、汗を流していく。

そして泡立てたスポンジで背中を撫でる様に洗っていく。

その表情には何の色も伺えなかった。

十六歳とはいえ、既に女らしさを備えた椿の身体に触れているのにも拘らず――。

「………」

(そんなに、私は汚い? ……私に興味が無い――?)

「……もう、いい……」

熱い涙がじわりとまなじりに滲む。

泣いたら榊を困らせてしまうだけだと分かっているのに、椿はあまりに自分が惨めすぎて涙を押さえられなかった。

「お嬢様……?」

「……もう自分でできる……」

(もう、分かったから……榊が私の事を女として見れないってことは……)
/25ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ