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虜 ~秘密の執事~
第1章
「お嬢様……私はお嬢様の為ならなんだって――」
榊のいつもの繰り言に反応するように、椿は気付くと彼を最も傷つけることを口にしていた。
「……抱いて……」
「……お嬢様?」
榊の逞しい腕がピクリと反応する。
「何でもしてくれるのでしょう――っ!? じゃあ私を抱いて!!」
そう叫んだ椿を、榊は愕然とした表情で見つめる。
「お嬢様……」
「私を綺麗にして……」
戸惑いを含んで小刻みに揺れる榊の瞳を、椿は縋りつくようにまっすぐに見つめる。
どれだけ時間が経ったのだろう。
浴室には流しっぱなしのシャワーの軽い音だけに充たされていた。
そして榊が重い口を開く。
「……後悔、されませんか……」
少し擦れた榊のその声に、椿はゆるゆると頭を振る。
「後悔なんて……榊と出会ったころから、ずっとしてる――」