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欲望の行末 ~愛しのアンドロイド~
第2章
西暦二〇一三年。
「おっ届っけもので~す!!」
絢(あや)が学校から帰宅した直後、玄関の呼び鈴と元気な配達屋さんの声が玄関から聞こえる。
この家の人間は絢一人だが、お手伝いロボットの『祐二君 二号』が対応してくれるだろうと、絢はセーラー服の制服を脱ぎかける。
しかしその数十秒後、部屋の扉がコンコンと、規則正しくノックされた。
「絢オ嬢様。オ届ケ物ハ、ゴ本人デナイトオ渡シデキナイソウデス」
祐二君二号のたどたどしい言葉。
「は~い、ちょっと待ってね」
絢はまだ着替えのすんでいない制服のまま玄関を降りると、先ほど脱いだばかりのローファーに足を入れ、玄関の扉を開ける。
そこには人が良くて力持ちの典型なタイプの配達屋さんが立っていた。
「岬(みさき)絢(あや)さんでいらっしゃいますね? 岬 祐一(ゆういち)様よりお荷物をお預かりしております」
「あ、はい、そうです。パパから? なんだろ」
「重いものなので、中まで運んでよろしいでしょうか?」
「はい、お願いします」
荷物は2メートルはあろうかという大きな木の箱だった。
「実は引き取りも承っておりまして、そちらの旧式のロボットを回収するようにとの事なのですが」
配達屋の視線が、絢の後ろに立っている祐二君二号に留まる。
「え、そうなの? じゃあもしかして、新しいロボットを届けてくれたの?」
「はい、開けてよろしいですか?」
「ええ、どうぞ」
配達屋は手際よく梱包を解いていく。説明書等の書類を絢に渡すと、透明なフィルムに包まれた使用人のお仕着せを着たロボットの額を指し示す。
そこにはたんこぶの様な、少しふっくらしたふくらみがあった。
「ここを絢さんご本人が押してください。そうすれば自動で動くそうです」
「はい」
言われた通り額の膨らみを押すと、そこは平らになりロボットの瞳が開いた。
ゆっくり上半身を起こしたそれは、フィルムを自分で破ると、素晴らしくスムーズな動作で口を開く。
「はじめまして、絢様。私は岬祐一教授によりつくられた、家事手伝いアンドロイド三号です。今日から絢様の身の回りのお世話をさせて頂きます」
その言葉は二号のようにかくかくとした機械ぽさはなく、人間とまったく見劣りしなかった。
隣に立っていた配達屋も息を呑んで驚いていた。