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欲望の行末 ~愛しのアンドロイド~
第2章  

「う、うん……私どうやらボーイフレンドが出来ちゃったらしくて……」

「ボーイフレンドでございますか? 彼氏でしょうか?」

「うん、まあそれに近いかな……」

「そうですか……おめでとうございます」

「え……?」

(おめでとう……?)

目をぱちくりとした絢に、祐二が頷く。

「男性恐怖症が治ったという事でしょう。とてもめでたいと思いますが?」

「そ、そうだね……でも、祐二さんはその、嫌、じゃないの……?」

「はい?」

「その……私と祐二さんって……セフレ……でしょう?」

「セフレ? セックスフレンドでございますか?」

「う……そうあからさまに言われると……」

「違いますよ、私は絢様のセフレではなく、愛玩ロボットです」

「………」

(今……なんて……?)

絢の瞳が徐々に見開かれる。

「私はもともと男性としての機能を、岬教授によりロックされていました。ところが絢様を庇って頭を打った時、そのロックが解除されてしまったのです」

「………」

「そして私達は身体を繋げました。しかし絢様は私の事を男として愛している訳でもなく、ましてや私は人間ではありません。貴女の、絢様だけの愛玩具以外の何物でもありません」

愛玩ロボット。

その言葉に、心臓に氷をあてられたように、急速に心が冷えていく。

「そう……そうだけど、でも……」

「アンドロイドに心はありません。絢様にヤキモチを焼くことも、私にはありえません」

(祐二さんは私が誰と付き合って、エッチしたっていいって言うの……?)

ずきん。

絢の心が凍えすぎたのか、痛みを訴えかけてくる。

「……いい」

「絢様?」

祐二が怪訝そうに絢の顔を覗き込んでくる。

「もういい……っ!!」

絢はそう叫ぶと階段を駆け上がり、自分の部屋に逃げ込んだ。






「……ちゃん、絢ちゃん……?」

上からそう声を掛けられ、絢はぼうとした頭を上げる。

その双眸に、木内が困ったように笑っている顔が目に入る。

「ごめんなさい、私ったらまた……」

週末の木内とのデートの最中、絢は心ここにあらずだった。

謝った絢に、木内は首を振る。

「たぶん、今絢ちゃんが一緒にいたいのは、俺じゃないんだね……いま、誰が心の中にいる――?」

「え……」

「誰の事、考えてた?」

(……私……)
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