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欲望の行末 ~愛しのアンドロイド~
第2章
「……本当です。脈拍上昇、体温上昇、瞳孔拡張……典型的な恋に落ちた女子ですね」
「ばか。そんな冷静に判断しないで……」
絢は急に恥ずかしくなって、捕まえていた祐二の手を離すが、今度は反対に捕まれて祐二の胸に当てられる。
そこからは掌を伝って祐二の鼓動が聞こえてきた。
「そして私も同じです。絢様の事を思うと、乱れるはずのない脈動が加速し、体温も上昇します……これはなんなのでしょう――?」
祐二は心底不思議そうに、そう言う。
「私に恋に落ちたのよ!」
「恋……そんな筈はありません。アンドロイドは人間に恋をしないように作ってあります」
「じゃあ、この状態はなんだって説明するの?」
「これは……」
「ああ、面倒くさい!」
絢はそう言うと、強引に祐二の唇を自分のそれで塞ぐ。
角度を変えて唇を啄ばみ、その舌を絡め取り気の済むまで蹂躙する。
胸の中が気持ち良さでいっぱいになり唇を離すと、絢は祐二に人差し指を突きつけた。
「私は祐二さんに抱かれたい! めちゃくちゃにされて貴方でいっぱいにして欲しい……祐二さんは、違うの?」
「私は……私も、絢さんを抱いて喘がせて、私だけしか感じないようにしてしまいたいです」
祐二が真剣な表情でそう告白する。
「それは何で?」
絢が首を傾げ、そう尋ねる。
「貴女が……絢様が好きだから……愛しているから――」
そう言った祐二の瞳が徐々に見開かれていく。
「私が、人間を、絢様を好き――?」
「ええ、そうよ」
「愛している――?」
「そうよ。私達はお互い愛し合っているの」
絢は祐二の滑らかな頬を両手で挟むと、微笑んで再度キスを落とす。
「これは……奇跡です」
祐二が物凄く真面目にそう力説したので、絢はおかしくなって吹き出す。
「……ぷっ!! そ、そうだね。奇跡だね」
「む、何が可笑しいのですか。思い合う男女が結ばれるのは奇跡です。ましてや私達は、人間とアンドロイドですから……」
「すんごい奇跡!! なんだね?」
「はい」
祐二の顔が満足そうな微笑みに変わる。
その微笑を見ていると、絢の心の中にほんわかとした幸せな気持ちが満ち溢れる。