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欲望の行末 ~愛しのアンドロイド~
第2章  

その日もバラエティー番組を見ている絢の斜め後ろに立つと、祐二から口を開く。

「絢様はボーイフレンドはいらっしゃらないのですか?」

「うん、いないよ」

「そうですか。統計的には十七歳の女子高生の彼氏有率は四十%ですね。絢様は素敵ですので、いらっしゃるのかと思っておりました」

祐二は優しそうな笑顔でそう言う。

「わあ。お世辞まで言ってくれちゃうの?」

おどけた絢に祐二は至極真面目に答える。

「私の女性の好みは岬教授の好みそのものに設定されております。ですので……」

「なるほど。お母さん似の私は、祐二さんには理想の女性に映るわけか」

「はい」

「私はしばらく彼氏は作るつもりないわ。お父さんにもそう報告していいよ」

「そうですか。しかし、なぜ彼氏を作らないのですか?」

「……男なんて……最悪なんだもん」

「最悪? どうしてですか?」

「だって、自分勝手だし、……エッチだし」

後半はぼそっと祐二に聞こえないように呟いたつもりだが、超音波さえ聞き取る祐二には、難なく聞き取られてしまった。

「えっち……? 少しお待ちください。調べます……」

「わあっ!? いい、いい! 調べなくて!!」

数日一緒にいて分かったことだが、祐二は分からないことがあると内蔵のコンピューターシステムで直ぐに検索し、知能を増やすらしいのだ。

「〔「変態」のローマ字書き hentai の頭文字から〕性的にいやらしいさま。また、そういう人……でございますか?」

「……そうです」

絢は虚脱してそう返す。

「変態は困りますね……」

しみじみとした表情で祐二が答える。

「……そうですね……」

(め、めんどくさい……)

絢のその気持ちが伝わったのか、祐二はそれ以上追及しては来なかった。

「おはよ~」

翌朝、間延びした声で、絢は教室に入る。

「おはよ~絢。なんか疲れてない?」

既に自分の席に付いていた親友の直美が、絢の顔を見るなりそう突っ込む。

「それがさ~聞いてよ。うちにまた新しいロボットが来ちゃってさあ」

「また? 二号君ってどれくらい居たの?」

「う~ん、一年居たか居ないか」

「パパも頑張るねえ」

「うん?」

直美の良く分からない相槌に、絢が聞き返す。
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