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実業家お嬢様と鈍感従者
第6章 意中の彼を落とす作戦・その三 汝、彼に気持ちよく話させろ!

使用人であるヘンリーは、なかなか自身の話はしてくれない。

午後の紅茶までに仕事を一通り終わらせたアンジェラは、何とか彼と話をしようとお茶に誘った。

「ヘンリー、一緒にお茶をしましょう」

「結構です」

予想通り、彼は即答で断る。

「私が貴方と一緒にお茶を飲みたいの」

「使用人と同じテーブルに付くなど論外です」

ここまでは想定内の反応だ。

彼女は少しでも可愛く聞こえるよう、胸の前でお願いのポーズをし、笑顔で彼を見上げる。

「じゃあ、紅茶の入れ方を教えて? ヘンリーがいつも美味しい紅茶を入れてくれるから、私も貴方に入れてあげたいの」

「そのようなお気遣いは無用です」

彼女のお願いは何も効果は無く、ヘンリーは無表情で直立不動のまま応えた。

「私がやりたいって言っているのよ!」

「貴女は主なのですから、紅茶など周りの者に用意させればよいだけの事です」

立て板に水な彼の返答に、とうとうアンジェラの堪忍袋の緒が切れた。

机から立ち上がると彼のお仕着せの腕を取って引っ張る。

「もう、つべこべ五月蝿いわよ! ほら厨房に連れて行って」

「駄目です。主が階下に出向くと使用人が迷惑します」

彼は主の手を至極丁寧に解くと、少しきつめの口調で制する。

「お母様だって個人的な友人を招く時、自分で茶を立ててらっしゃるでしょう? これだって淑女の嗜みの一つじゃない」

そう言うと、アンジェラは間髪入れずにデスクに置かれた呼び鈴を鳴らす。

メイドに二人分のティーセットの用意をさせると、ヘンリーは諦めたようでもう抵抗しなかった。

「……そんなに淑女の嗜みを身に付けられたいのでしたら、奥様の課題もなされば宜しいのに」

少し呆れた表情を浮かべながら、彼はてきぱきと居間のテーブルの上にティーセットを準備する。

「刺繍とか詩の朗読を私にしろと言うの? そんなものなんの役に立つのよ?」

「確かに刺繍は時間を持て余していない貴女には不用かもしれませんが、詩の朗読はサロンに招いた客との会話に使うこともあると思いますよ。扇の使い方や立ち居振る舞いも淑女の社交の術として必要かと思います」

彼の説得に、確かに淑女の立ち居振る舞いは必要かもと思い直す。

仕事の上でもこれからパーティーに出る機会も多くなるであろうし。

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