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幸せの頂点
第10章 卑怯

「あんなに素敵な彼氏なのに…。」
里緒ちゃんの呟いた言葉で胸に痛みが走る。
間違いなく素敵な彼氏…。
その人を裏切って捨てようとしてる私…。
「いいんじゃないの?彼氏だけが全てじゃないよ。今は結婚しない女の子なんか当たり前の時代じゃん。」
僕っ娘のナナさんだけが冷静な意見を言う。
「それは…、そうだけど…。私は私を受け入れてくれる彼氏が欲しいかな…。」
杏奈ちゃんが寂しく笑う。
奇抜なロリータファッションの杏奈ちゃんはモテるけど歴代彼氏とは上手くいかないと嘆く。
「最後は必ず『そのファッションを辞めてくれたら結婚を考える。』とか言われるのに飽きたよ。」
仕事にプライドを持つ杏奈ちゃんの悩み。
ロリータが好きで、そのショップに就職したのに彼氏からはその仕事を拒否される。
杏奈ちゃんの話に里緒ちゃんがため息を吐く。
「人生の幸せって…、どこにあるのかな?」
誰もが思う事を里緒ちゃんが聞く。
「仕事だけが幸せ?彼氏と結婚するのが幸せ?結婚する事が女性の一番の幸せ?里緒は仕事も中途半端で彼氏も居ないから不幸な女?」
不安な里緒ちゃんがナナさんに意見を求める。
「僕は仕事の時間が一番幸せだと感じる。皆んなと毎日楽しくランチをして楽しく会話が出来る。」
「でも、それだけが本当に幸せ?」
「結局は価値観だからね。主婦でも幸せだと思える人も居る。同じ主婦でも不幸だと感じる人も居る。幸せはその人の価値観であり自分は不幸だとばかり考えてたら本当に不幸になっちゃうよ。」
ナナさんが優しい言葉で里緒ちゃんを宥める。
「でも、やっぱり素敵な人に出会えて幸せな結婚って憧れるよね。」
最後に杏奈ちゃんがため息を吐く。

