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幸せの頂点
第11章 物欲



鮮魚コーナーで鯛の短冊を買い、一級品の日高昆布を手に入れる。

後は野菜売り場。

悔しいけど、今の私の売り場よりも洗練された売り場であり商品も瑞々しく張りのある物ばかりが陳列されている。

ベビーリーフと大葉を購入し部長と百貨店を出た。


「昼は軽くていいな。」


そう言った部長が蕎麦屋に行く。

ありふれた蕎麦屋。

よくあるお店…。

不思議な感覚を感じて部長を見る。


「どうした?蕎麦は嫌いか?」

「いえ、好きです。」

「なら、食えよ。」

「部長ってグルメだから一流のお店しか行かないのかと思ってた。」


私の言葉に部長が咽せて咳き込んだ。


「別に…、グルメじゃねえよ。」

「だって、金銭感覚とかおかしいもん。」

「旨けりゃ何でもいいんだよ。値段は関係ない。蕎麦は伸びたら不味くなるだけだぞ。」


急かされて蕎麦を啜る。


「このお出汁…。」

「つまり旨いから来る。それだけだ。」


芳醇な昆布の香りが立つお蕎麦…。

部長の味覚の鋭さは私達以上なのだと驚かされる。

素朴な疑問を聞いてみる。


「部長は何故バイヤーに?それだけの味覚があるなら料理人の道もあったはず。」


私の質問に部長が眉を顰める。


「紫乃が知っての通りだ。」


膨れっ面で答える。


「何を?」

「俺はプルすら開けられない男だ。それに料理人は自分の料理を突き詰める。藤原のようにな。俺は色々と食いたい欲張りだった。それだけだ。」


やっぱり潔いと思う。

自分を知ってるから料理人でなくバイヤーの道に突き進んだと平気で言う。

強引で横柄な態度で我が道を行く。

その強さに惹かれる。

妬ましいほどの強さ…。

彼の強さを欲しいと思うからこそ彼を手に入れたいと私は必死になる。


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