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幸せの頂点
第13章 安泰
お嬢様の後ろに10名ほどのフロアマネージャーや役員が付き人のように従う大名行列。
「ねえ、ケーキが一番美味しいショップはどこ?」
お嬢様が質問すればフロアマネージャーが
「うちの店舗の洋菓子店はどれも人気のあるショップでございます。」
と丁寧に答えてる。
「そうじゃなくて一番美味しいケーキよ。」
「澤村様は食品部のフロアマネージャーをご希望ですか?」
現食品部フロアマネージャーが青ざめて涼香お嬢様に確認する。
その質問が気に入らないお嬢様は地団駄を踏み
「違うわよっ!もうっ!わかんないかなぁ。美味しいケーキが今すぐ食べたいからショップを聞いてるんでしょ?就職についてはまた今度考えるの。」
と叫び出す。
何の為の大名行列?
あれではただのお嬢様のお買い物だと呆れて来る。
「涼香さんの好みは?」
ビンと響く声がする。
部長…!?
私の驚きを見た高崎さんが小声で
「部長は涼香お嬢様のお気に入りだからなぁ…。」
と教えてくれる。
お嬢様のお気に入り?
なんとなく腹が立つ。
「好み?」
お嬢様が首を傾げて部長を見上げる姿が見える。
「フルーツをふんだんに使うショップもあればチョコレートの専門店、ケーキにも好みや種類がある以上は一番旨い店と断言するのは難しい。」
「ふーん…、なら部長のおすすめは?」
「ない…。自分の欲しいと思うものくらい決められない人間はフロアマネージャーなんか務まらない。」
部長の言葉に私と高崎さんがうんうんと2人で呑気に頷いてしまう。
「ふーん…、じゃあ、自分で選ぶ。」
そう答えた涼香お嬢様が製菓コーナーへとお供を連れて消えて行く。