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幸せの頂点
第13章 安泰



商品を求めて無闇に動き回っても空振りだった時の経費は自己負担にしかならない。

それを考えれば信頼出来る部長の情報での出張は本当に有難いとしか思えない。

本店のバイヤー…。

だからこその至れり尽くせり。

その立場に甘んじるつもりはないが、今は部長に言われるがままの私に重んじるしかない。

仕事に集中したいと思う。

克の事を考える煩わしさから逃げたいとまで考えてしまう。

それでも克と全く顔を合わせない生活は不可能であり朝などは気不味い顔をした2人が仲良く朝食を食べる事になる。


「ねえ、紫乃…。」

「今日から出張に行くから…。」

「今日からなの?」


後は無言を貫く。

連休のスタートは明日から…。

部長との出張も明日からだけども克と居る空気に耐えられないと感じる私は1日でも早く克から逃げ出そうとしてる。

5月の大型連休。

前半の2連休に中日を挟み4連休に入る。

スタートの2連休は大して集客率が上がらない。

メインの4連休に一番集客率が跳ね上がるからと今回の出張に期待する。

遅番だというのに克よりも先に家を出た。

真っ直ぐに部長の家へと向かう。

マンションのエントランスでTシャツにジーンズというラフな部長を見つける。


「部長?」

「おはよう、今朝はどうした?」

「部長こそ…。」


と言いたくなる。

頭からタオルを被って怪しい人をやってる部長を笑ってしまう。


「泳いでただけだ。」


笑う私の頭を部長がガシガシと押さえ付けて撫でる。

このマンションにはプールがある。


「朝から元気ですね。」


部長とエレベーターに乗り部屋に向かう。


「それで紫乃は何をしに来た?」


私の荷物を見て部長がニヤニヤと笑う。


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