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幸せの頂点
第13章 安泰
そういう商品を今年一杯で確実に増やす事が出来れば私の売り場は安定する。
その安定のタイミングで克とは結婚をするつもりだった。
部長の生き方を学んだ今はもう、そんな不自由な結婚はお断りだとしか思わない。
お昼は休憩も取らずに発注作業を済ませてバックヤードへと引き篭る。
早めに仕事を終わらせたら素直に部長の家に帰ろうと考える。
もしも機嫌が悪かったら、ちゃんと謝ろうと思う。
克の事をいつまでもダラダラと中途半端にして部長に不安を与えてるのは私の方かもしれない。
私って最低だ…。
商品が詰まるダンボールを積み上げながら部長に可愛くなれない自分に泣きたくなる。
早く帰りたい。
気持ちだけが焦ってた。
「危ないっ!」
低い声がする。
壁際に身体が押し付けられる。
何!?
次の瞬間には私が積み上げたダンボール箱が2つ、3つと頭上から私の足元に落ちて来る。
そこから下のダンボール箱は部長が片手で押さえてくれて全てが崩れるのを防いでる。
「何やってる?」
不機嫌な声が聞いて来る。
「何って…、在庫整理を…。」
今日の予定は言ってある。
今更、確認を受けるとか考えてもみなかった。
「荷崩れさせる整理とか聞いた事ねえよ。」
「それは…。」
早く帰りたくて焦ってたのは事実だ。
無茶な積み上げをして少しでも場所の確保すれば夕方の入荷が楽に出来るからと雑な仕事をした。
その事実を見透かされて部長の顔を見れなくなる。
「やっぱ、お仕置きだな。」
部長が不機嫌なまま唸る。
ダンボールを積み上げたカートを部長が無理矢理に引き寄せるから私と部長は壁以外の三方を積み上げたダンボール箱に囲まれた。