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幸せの頂点
第14章 出張

「待ってたから…。」
貴方と食べたいと思ったから…。
冷蔵庫に行き部長が飲むビールを出す。
プルを開けるのが私の役目。
気を遣うんじゃない。
それを当たり前に出来る女が部長の恋人になれるのだと感じるから私は黙ってそうする。
「明日の出張はどこまで?」
仕事の予定を聞く。
部長が望む行動が出来る女になりたいと願う。
テーブルに隣り同士で座り、部長がビールを飲みながら話をしてくれる。
「富士五湖に…。」
「仕入れるものは?」
「今からの季節に欲しいものが2つ。紫乃なら何が欲しいと思う?」
まるでクイズのように部長が言う。
今からの季節…。
キュウリ、トウモロコシ…。
季節を考えれば当然夏野菜を考える。
「油通し無しの調理で煮崩れしない茄子がそこにあると聞いたら紫乃ならどうする?」
ニヤニヤとして私の反応を面白がる言い方だ。
「そりゃ、当然欲しいと思うわ。」
茄子という野菜は水分が多く調理法として先に油通しをしなければ水分と共に旨味が流れ出てしまい煮崩れを起こしやすい。
逆に煮崩れしにくいものは皮が固く、その皮の食感が邪魔に感じるという難しい食材だ。
柔らかさと旨味を残すのに必要な油通しの調理法だと茄子が半端なく油を吸いカロリーは跳ね上がる。
その油通しの必要がないというだけでも需要がかなり変わって来る。
そんな特別な情報を何処でどうやって仕入れてるのかを部長に聞きたくなる。
部長はただ穏やかに笑うだけ…。
「オマケに山葵も仕入れる予定だ。」
「山葵?」
「藤原でも使ってる。辛味が強く香りも良い。」
藤原の情報まで手に入れる部長に目を見開く。

