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幸せの頂点
第14章 出張

「さあな…、最終的に決めるのは社長だからな。」
部長が吐き捨てるように言う。
憂鬱な出張のスタートだった。
時間ギリギリで東京駅に行き新幹線に乗り込んだ。
名古屋行き、こだま…。
座席は一番後ろ。
窓側に部長が座り私は通路側に座る。
「よくチケットが取れましたね。」
連休中の乗車率は200%とかニュースで聞いた。
「名古屋行きのこだまは比較的に空いてたぞ。」
欠伸をしながら部長が答える。
この人って乗り物に乗ると欠伸する。
「まさか…、眠いの?」
「俺、起きたのが4時だからな。」
「なんでそんなに早く起きたんですか?」
「厳密に言うならば、紫乃に興奮して寝れなかったという方が正しいな。」
ニヤリとして部長の手が私の太股を撫でて来る。
「公共の場でのお痛はいけません。」
その手の航を抓って撃退する。
「ケチ…。」
カバオ君が拗ねて寝る。
三島まで小一時間。
暫しの休息と思いきや…。
「やだぁ…。」
「キャハハ…。」
「これ食べる?」
「アーンして…。」
「可愛いーっ!」
車両の真ん中辺りで女の子達が騒いでる。
4人掛けの座席に座る女の子と男の子の姿もチラりと見える。
「うるせえな…。」
虎が唸る。
「学生かも?グループで旅行かな?」
連休中が始まったばかりの新幹線だから仕方がないと不機嫌になる部長を宥める。
「温泉っ!熱海ーっ!」
グループは更に盛り上がりを見せ、部長の眉が引き攣り出す。
「相手はまだ学生ですから、ここは大人の対応でお願いします。」
今にもキレそうな部長の手を握る。
あくまでも私は学生だと思ってた。

