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幸せの頂点
第16章 決意

バックヤードから再び売り場へと戻り部長を探す事にする。
入れ違いだと最悪だとか考える私の耳によく響く声が聞こえて来る。
「梨花には関係ねえよ。」
拗ねた言い方。
梨花って…。
「神威が悪いんでしょ?」
同じようによく通る女性の声もする。
「向こうが勝手に寄って来てんだよ。仕事じゃなきゃあんな女の相手なんかしてらんねえよ。」
「それでも神威がはっきりした態度を取るべきよ。」
「だから、それは梨花に言われる覚えはねえよ。」
地下食品売り場の通路で部長と女性が揉めている。
女性は梨花さん…。
高崎さんの奥様…。
部長が好きな人…。
部長の前に出るのが怖くて柱の影から2人の様子を見る事にする。
「それよりも、もう体調はいいのか?」
部長が梨花さんの髪に指を絡ませる。
「もう平気…、だから少しづつ出歩いてる。今日はついでに神威の様子を見に来たの。」
梨花さんは綺麗な笑顔を部長に見せる。
私よりも小さな人だった。
色白でとてもキャリアウーマンタイプの女性には見えない。
寧ろ、ふわふわとしたお嬢様タイプの女性で部長も梨花さんには腫れ物のような扱いをしてる。
「何やってんの?」
そう言われて心臓が止まるほど驚いた。
「金子さん…。」
「あれって部長と梨花さんか?」
「うん…、高崎さんの奥様だよね?」
「そうそう、高ちゃんが見たら修羅場だな。」
「高崎さん…、呼んで来なきゃ。」
「えっ!?ちょっとなんで俺!?」
2人の邪魔をするべきじゃないと無意識に思った私は金子さんの腕を掴みバックヤードへと引き返す。

