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幸せの頂点
第17章 場所

高崎さんとしては部長の下でなら働いても構わないと言ってる。
どうやら高崎さんの為に部長は梨花さんに再び過保護になる事実を私は受け入れる必要がある。
それは我慢ではなく譲歩という形…。
少しづつ、私が望む幸せの形が見えて来る。
我慢はしなくていい。
欲しいと思うなら自分で手に入れる。
その為にも私は行かなければと考える。
「高崎さん、ごめん。ちょっと早退する。」
ニヤニヤとする高崎さんをお蕎麦屋に残して私は自分が帰るべき場所へと走り出す。
まだ待っててくれるかは不安だけど、このまま放ったらかしにも出来ない。
走りながらタクシーを探す。
運良く交差点でタクシーが拾えた。
運転手さんに行き先を告げて、後はひたすら神頼みをしてしまう。
お願いだから家に居てよ。
あの人の事だから、ふらふらとあちこちに出掛けてる可能性を否定出来ない。
これ以上のすれ違いはお断りだと思う。
克の時のようにすれ違いでも仕方がないと諦める関係は2度とやりたくない。
母が父に無理矢理にでも美味しいと言わせたかった気持ちが今の私にならわかる。
だから家に居てよ。
居なかったらただでは済まさないからね。
あの人に私の怒りが通じるかはわからない。
それでもマンションの前でタクシーから飛び降りてエレベーターへと走り込む。
今、ブレーキを掛けたら、きっと2度とあの人のところへ戻る勇気を失くしてしまう。
だから勢いだけで彼が居るはずの部屋に飛び込むしかなかった。
玄関でヒールを脱ぎ捨てて彼の部屋に上がり込む。
リビングへの扉を勢いよく開けば一番に目に飛び込んで来るのは高層階からの街の景色。

