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幸せの頂点
第19章 親子
百貨店の近所で一番人気のない食堂…。
冷めたコロッケや焼き魚が置いてあり、ご飯と温い味噌汁を頼んでテーブルに座る。
「何故、私が梨花さんの代わりとか言われるの?」
正直、梨花さんは高崎さんの奥様で部長の従妹なのだからと関係を上手くやって行きたいと思ってた。
だけどテーブルに座る梨花さんがずっと私を睨んでる以上は私も敵意が剥き出しになってしまう。
「私が辞める時、神威も一緒に辞めて佐丸に戻ってくれるって約束だったのよ。」
梨花さんが口を尖らせる。
私は思わず高崎さんの顔を見る。
「俺が一緒に辞めるか佐伯さんが辞めるかって話にはなったんだよ。でも佐伯さんが突然辞めないって言い出して俺にも残れって事になった。」
高崎さんがそこまで言うと梨花さんがキレたように話をする。
「支店で凄いバイヤーを見つけたって…、だから、その人を私の代わりに呼ぶんだって…。そう言って神威は佐丸に戻る事を拒否したのよ。」
梨花さんが泣きそうな顔をする。
佐丸に戻るにしても梨花さんの体調が戻るまでは時間が掛かるからと、しばらくは部長も高崎さんもそのままになってた。
「でも…、私の前に来た人は3ヶ月もたなかったって言ってませんでしたか?」
梨花さんが辞めた後は私の前に2人ほどバイヤーが来てたはずだと聞いてる。
「佐伯さんは阿久津さんを希望した。なのに社長は違う人を連れて来た。1人目は元佐丸のバイヤーだったから俺も佐伯さんも驚いた。」
高崎さんが露骨に嫌な表情を浮かべる。
「元佐丸のバイヤー!?」
「そう、そいつは辞めたというよりも佐丸から研修に来たって言い方をしてたんだ。」
ますます話がややこしいとか思う。
何故、佐丸からバイヤーが研修に来るのかが理解すら出来ない私を梨花さんが睨み付ける。