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幸せの頂点
第19章 親子



その私の存在は涼香さんや梨花さんにとっては邪魔な存在にしかならない。

だから梨花さんは私に敵意を向ける。


「神威が阿久津さんを選んだりするから叔父様が許してくれないのよ。」


梨花さんはその言葉を繰り返す。

昼休みが終わり梨花さんが帰ると高崎さんが気不味い顔で私に頭を下げて来る。


「ごめんな。梨花の態度を許してやって欲しい。」


高崎さんの気持ちは有難いが私は部長に相応しくないと烙印を押された事実に凹んじゃう。


「私は…、部長に相応しくないと思われてる。」


その事実を高崎さんに確認する。


「それは違う。」

「でも梨花さんはそう思ってる。」

「それを言うなら梨花は俺とも結婚をしてないよ。相応しいとか相応しくないとかいうよりも梨花は阿久津さんに佐伯さんを取られそうだと思って我儘を言ってるだけなんだ。」

「部長を取られる?」

「梨花は…、俺が言うのもなんだけどちょっと我儘なお嬢様なところがあって、その梨花の我儘を佐伯さんがなんでも聞いて来たから佐伯さんが居なくなるかもと怯えてる。」


高崎さんがため息を吐く。

梨花さんがこの百貨店に居た時、高崎さんは梨花さんが我儘過ぎると唯一叱った人だった。

その事で梨花さんを甘やかす部長とも対立したりもしたらしい。

その反面、梨花さんは自分を叱ってくれる高崎さんを自分の夫として選んだ。

部長は何故、私を選んだの?

私は何故、部長を?

それぞれの求める幸せの頂点。

その点が繋がり線となり縺れていく。

線の行き先を見失えば部長を失ってしまう。

私は貴方と繋がってる?

その答えが知りたいと思う。

私が幸せという頂点に立った時にあの人が傍に居てくれるという確信が欲しかった。


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