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幸せの頂点
第19章 親子



寧ろ、あの時のお姉さんは私を部長の彼女だという態度で接してくれた。

私はこの人の言葉を信じるしかないと思う。

私が幸せになりたいのはこの人とだからと部長にしがみつく。


「誘ってんの?」


部長が私の腰を抱えてお尻を撫で始める。


「ご飯の用意をするから止めて…。」


その手を引張叩いて部長から離れる。

何も不安なんかないと自分に言い聞かせる。

私の作る食事を穏やかな顔で食べてくれる幸せ。


「やっぱり旨いな。紫乃のお母さんも料理の上手い人だけど紫乃も上手い。」


部長はちゃんと私を褒めてもくれる。

母のように美味しいの一言を求めて家出する必要は私にはない。

それだけで満足だと思う。

形だけの幸せでなく本当の意味の幸せが少しづつ見えて来る。

それはパズルのピースのように私の中で当て嵌る。


「風呂に…。」


食事の後に片付けをする私に部長がへばりつく。


「1人で入って来て…。」

「紫乃と入る…。」

「今夜はダメ…。」

「なんでだよ?」


部長が子供っぽく膨れっ面を見せるとカバオ君だと笑っちゃう。


「明日、佐丸の創立祭だから…。」

「行くのは昼からだぞ?」

「それでもダメ!1人で入りたいの。」


今夜は部長を突っ撥ねる。

抱かれてグズグズになる私で佐丸には行きたくない。


「へーへー…。」


私の頬に触れるだけのキスをして部長が私から離れてお風呂に行く。

それでもベッドでは私は部長にしがみつく。


「だから…、それって…、誘ってんぞ。」

「誘ってないの。」

「なら、なんなんだ?」

「ギュッてして…。」

「は?」


呆れながらも部長が広い胸に私をギュッと抱き締めてくれる。


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