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幸せの頂点
第3章 失敗



30分かけてバス通りに出た。

バス停に向かおうとする私を部長が止める。


「バスはもうねえよ。」


部長の言葉に固まった。


「は?」

「バスはねえの。だから今夜は宿に泊まる。」

「泊まるって…。」

「こんな道にタクシーが来るとでも思ってんの?」

「だって…。」

「歩いて駅に向かっても終電には間に合わん。」


日が暮れてる。

この人って…。

怒りが湧いて来る。

なのに部長は


「だから俺はさっさとしろって何度も言ってやったのになぁ…。」


ととぼけた口調で私を責める。

最初から泊まる事になるとわかってて私をここまで連れて来たくせに…。

バス停とは反対方向へと部長がのんびりと歩き出す。

それは駅とは反対方向で私達が乗って来たバスの進行方向になる。


「駅は向こうです。」


囁かな抵抗を見せる。

正直に言えばヒールで山道を歩き回りクタクタだと思ってる。

歩きながらも携帯を使ってタクシーを呼べば済むかもしれないと、この付近のタクシー会社をネット検索してみる。

部長が言う通り、タクシーなんか存在しない地域だと理解するのに5分も必要がなかった。

部長はそんな私を見てニヤニヤする。


「駅に行ってもバス停以外は何もない。駅の待合室で始発まで野宿するか?」


歩きながらの嫌味に苛立ちを感じる。


「この向こうに行けば大都会があるのですか?」


更なる山に向かってるようにしか見えない部長に嫌味を言い返す。

部長がゲラゲラと笑い出す。


「残念だが大都会はねえよ。その代わりに高速道路のインターがあって、その手前にモーテルがある。そのモーテルからならタクシーを呼べるから明日の朝はタクシーで移動して東京に戻れるぞ。」


全てを知ってた上で私をここに連れて来た。


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