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幸せの頂点
第21章 本来



延々と続く披露宴も夜になり酣になる頃にようやく帰れると部長と藤原を出る。

今夜は藤原が用意した宿に泊まる。

京都中の高級宿が藤原の予約で満室とか笑えない世界だと私はため息を吐く。

藤原が私達用に用意してくれた旅館は全ての部屋が日本庭園が見渡せる離れに造られプライベートを確保されている。

その部屋に運ばれた夕食を食べながら部長に聞きたい事を聞いてみる。


「本来の佐丸の跡取りがお姉さんだって話をちゃんと説明して…。」


部長が跡取りじゃないのなら何故、会長は部長を跡取りとして扱うのか?

お姉さんは本来の跡取りだというのに表舞台には出ようとしない。

その代わりのように私が部長の婚約者だと何も決めてないはずなのに全面に押し出される。

見えない何かに流されてる自分が怖くて私だけがいつも部長の後ろで立ち止まってしまう。

だから佐丸の本来の代表が誰なのかを私は知りたいと考える。


「言った通りだ。本来の佐丸の代表は女がやる。つまり今の代表候補は紫乃って事だ。」


部長がニヤニヤと嫌な笑みを浮かべる。


「なんで私が!?」

「初代の関係でそうなった…。」


初代佐丸の会長…。

百貨店の歴史は明治に呉服店が開店したデパートが始まりなのは誰もが知る事実だ。


「その呉服屋はどこの呉服屋だ?」

「まさか…。」


始まりは藤原の経営する呉服店。


「なら佐伯家は藤原の…。」

「かなり遠いけど血縁ではある。藤原自体が2000年も歴史がある以上、そこら中に血縁が居るのが当たり前だと思っとけ。」

「2000年…。」


全くピンと来ない私に部長の説明が続く。

話は呉服店である藤原の娘がある呉服店に嫁いだ事から始まった。


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