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幸せの頂点
第22章 頂点
一方の我が家では確かに今も神威が香耶の前で私にキスを迫って来る。
但し、俺様神威には加減がない。
油断をすれば香耶の前でも私を押し倒してスカートの中にまで手を入れて来る。
だから私は神威を引張叩く。
そんな両親を見て育った香耶は女の子には拒否権があると私の真似をしたに過ぎない。
「まあ、とにかく…、それは昴が悪い…。」
バツが悪そうに曽我社長が言う。
「なんで?パパ。僕、香耶ちゃんとは早く結婚したいもん。」
そこは昴君も譲らない。
「仁なんか相手にする気はないけどお馬鹿な昴も同じくらいに嫌よ…。」
フンッと香耶がそっぽを向く。
どうやら香耶の場合、幸せの頂点に導いてくれる男に苦労はしないとかくだらない事を考える。
「そろそろ爺様の挨拶が始まる時間だから、その話はまた今度な。」
神威が香耶と昴君の諍いに終止符を打つ。
佐丸の会長の最後の挨拶…。
お義父様は今日を最後に佐丸を退職する。
それと同時に佐丸の社長に高崎さんが就任する。
そして…。
「神威は大丈夫?」
会長の引退にずっと苛立ちを見せてる神威の頬に手を当てる。
「なんとかなる。俺には紫乃が居る。香耶も居る。だからどうにか踏ん張れるだろ。」
とぼけたように神威が呟く。
彼は今日、社長から会長へと就任する。
神威の会長就任の一番始めの仕事が高崎さんの社長就任という流れ。
ずっと迷ってた佐丸の会長の椅子。
女の子である香耶にその椅子を受け渡したいと決心した神威が承知した。
曽我親子は私達に頭を下げてから会長の挨拶の席へと移動する。
香耶を抱いたままの神威が私の腰を引き寄せる。