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幸せの頂点
第3章 失敗
克とは来た事がない場所…。
下品な場所を嫌う克とはラブホテルやモーテルを利用した事がない。
私には初めてになる場所だからと1人で変に狼狽えて緊張する。
「彼氏が居るのにモーテルは初めてか?」
部長がとぼけたように聞いて来る。
なんで、この人は私が考える事がわかるのよ!?
顔を真っ赤にして部長を睨み付けた。
「まあ、いいや。飯にするぞ。」
部長が部屋にある棚の上からカップラーメンを取り出した。
「カップラーメン…?」
「モーテルじゃ大概置いてある。ルームサービスもあるがさっさと食って寝たいだろ?」
やたらとモーテルに慣れてる部長に警戒する。
「部長にはこんな所に一緒に来てくれる恋人が居るのですか?」
ダブルベッドで部長と並んで座りカップラーメンを食べながら世間話として聞いてみる。
「女?今は居ねえな。」
また、とぼけた答えが返って来る。
「その割にはモーテルに詳しいんですね。」
「1人で来るからな。生産者は山に居る。山にはモーテルくらいしかない。」
端的に話す部長。
効率的な人なんだと感じる。
ラーメンを食べ終わり、落ち着かなくなって来る。
トイレに行きたいけど…。
ガラス張りでベッドに居る部長からはトイレの中が丸見えになる。
「風呂に行って来いよ。」
部長がまたぶっきらぼうに言う。
「行きたくても行けません。」
「俺が見るからか?」
自意識過剰だと言われた気分にさせられる。
「いちいち見ねえよ。トイレも我慢してんだろ?身体に悪いだけだぞ。」
「でも…。」
「なら、これならいいか?」
そう言った部長がとんでもないボリュームでテレビを付けた。