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幸せの頂点
第3章 失敗
まともに部長を見られない。
有り得ないほどに盛り上がる筋肉。
痩せた克とは違う身体。
肉体美を強調する彫刻のように美しく逞しい身体をした男…。
そんな男が
「服なんか着たら寝れねえじゃん。」
ととぼけた口調で文句を言う。
「でも…。」
裸の部長とベッドに入るとか無理だと思う。
私の胸がドキドキと派手な鼓動を繰り返す。
不意に手を掴まれてベッドの中へと引き摺り込まれるから目を見開く。
「彼氏が居るなら男の裸くらい見慣れてんだろ?」
私をベッドに押し倒した部長が私の身体の上に覆い被さり顔を近付ける。
近い…。
部長との距離が3cmもない。
「やんっ…。」
顔に手を当てて目を閉じた。
「やんって!?お前…、まさかの処女か?」
呆れた声がする。
その野太い声に惹き込まれる。
頭が真っ白になる。
部長の体温を感じる。
ゆっくりと目を開ければ克の倍の太さはある腕が見えて来る。
私の前髪を部長の指先が分けて撫でる。
「お前…、本当に彼氏が居るのか?」
確認するように聞いて来る。
「居ますよっ!」
ムキになって答えた。
男に不慣れな女が見栄を張ってるとか思われるのは許せない。
部長を睨むようにして見る。
整った彫りの深い厳つい顔が更に近付いて私の瞳を覗き込む。
「だったら…、そういう可愛い顔をすりゃ男が期待するって事くらいわかるだろ?」
困った表情を浮かべる顔…。
切なく真っ直ぐに私を見る瞳…。
吸い込まれそうだと思う。
部長の質問に答えられずに私は部長に見蕩れる。
更に部長の顔が近付いた。
鼻と鼻の先が触れる。
ゆっくりと部長の唇が私の唇に重なる。