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幸せの頂点
第4章 絶頂



「へ?部長、阿久津さんの歓迎会は?」


金子さんがわざとらしく確認する。

多分、部長が認めなかった人は歓迎会を行う意味がないのだろう。


「明日に決まってんだろ?阿久津は出張帰りで疲れてんだよ。」


それだけを言うと部長がバックヤードに向かって歩き出す。


「佐伯部長っ!」


私は契約書を持って慌てて部長を追いかける。

バックヤードは大型の台車に山積みされたダンボールが所狭しと犇めき合い迷路のようになってる。

その端の壁際で部長が立ち止まる。


「どうした?」


面倒臭そうに私を見る。

一夜限りの女は面倒だと思ってるのかもしれないと考えると部長を怖いと思う。

それでも私は言わなければならない事を部長に向かって言う。


「この契約は部長が取ったものです。」


これは私の仕事じゃない。

けども、このまま私が担当をすれば私の手柄になってしまう。

部長が私の言葉の意味がわからないという顔をする。


「野菜の担当はお前だろ?」


とぼけたように言う部長に腹が立つ。


「私が取った契約ではありません。」


金子さんは部長にプライドをズタズタにされると言ってた。

間違いなく今の私は部長にプライドを傷付けられてると感じる。


「そんな事かよ…。」


部長が呆れた声を出す。


「そんな事って…。」

「俺は3年通って爺さんをうんとは言わせる事が出来なかった。阿久津は1日で爺さんを納得させた。その結果が不満か?」

「不満です。」


部長の仕事に乗っかっただけだ。

私は何もしていない。

壁に部長が手を付いた。

私は部長の腕の中で壁際に押し付けられて身動きが出来なくなる。


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