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幸せの頂点
第5章 主婦
開店前の準備が忙しなく行われる店内をゆっくりと見ながら私の担当するブースに移動する。
鮮魚の一画の向こう側に狭いけど野菜を取り扱う棚が見えて来る。
私の…。
場所…?
棚の1つを見て立ち止まる。
愕然とする私に高崎さんが
「半年以上、担当が決まらなかったからね。」
と同情した目を向ける。
「半年も…。」
野菜の売り場は適当な扱いを受けた。
ひとまず商品を並べておけば良いだろう的な扱いを受けた棚はレイアウトもバラバラで商品も疎らに置かれてる。
品数も揃っておらず、萎びたものまでもが取り残されたままだ。
これが本店の陳列ですか?
そう言われても仕方がないくらいの無惨な扱いを受けた野菜達。
メインになる本店の野菜売り場というよりも、他の店舗で売れ筋の野菜をとりあえずとばかりに陳列しただけにしか見えない。
棚卸しから始める必要がある。
一番集客の多い土日までにまともな売り場にしなければという思いが強くなる。
「頑張ってね。」
高崎さんが自分の売り場へ移動する。
売り子として自分が扱う商品を大切に売って来た。
今の棚の商品では売る事すら躊躇う。
かと言って商品をバックヤードに下げれば棚が空かすかになり、見栄えも更に悪くなる。
1つずつ丁寧に確認作業をするしかない。
定番野菜が約20品目…。
それに季節野菜や限定商品などの特別品目を加える事で30~40品目を安定させる。
とても1日や2日で出来る仕事だとは思わない。
それでも明日の夕方にはあのトマトが入荷される。
無様な売り場に陳列してよい商品じゃない。
比較的にマシな商品をバックヤードの在庫から持ち出しては棚の並びを入れ替える。