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幸せの頂点
第5章 主婦
トイレから出て食品部の事務室に向かう。
そこに居るのは高崎さんだけだ。
「皆んな、先に行って待ってるよ。」
高崎さんが苦笑いをする。
その意味がわからずに高崎さんと百貨店を出た。
「阿久津さん、彼氏は?」
「一緒に暮らしてる人が居ます。」
「結婚するの?」
「そのつもりです。」
他愛のない会話をしながら駅前に向かう。
その駅前の商店街にある居酒屋に高崎さんが入って行くから私も続いて入る。
「高ちゃん、こっち!」
金子さんの声がした。
お店の奥にある個室。
座敷になってて靴を脱ぐ。
下駄箱を見れば何故かブーツやヒールが並んでる事に気付いた。
「キャハハハ…。」
「それは言わない約束ですよぉ。」
キャピキャピした女の子達の声がして立ち止まる。
「阿久津さんは部長の隣ね。」
高崎さんが私の背中を押す。
部長の隣って…。
横長のテーブルの真ん中に佐伯部長が胡座をかいて座ってる。
その右隣には今日、バックヤードで見た女の子が座ってて部長の腕に絡みつくように手を添えてる。
他にも知らない女の子が3人居る。
金子さんや山内さんの隣に1人ずつ座ってるから歓迎会というよりも合コンのように見えてしまう。
「阿久津、さっさと座れ。」
部長の野太い声がする。
とりあえず一番下座に当たる金子さんの隣に座ろうとしてみる。
「お前が主役だろ?こっちに来い。」
部長が不機嫌な声を出すから金子さんからも
「ほら、早く座って座って…。」
と急かされた。
なんとなく惨めな気分をじわじわと味わいながら部長の隣に座る羽目に追い込まれる。