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幸せの頂点
第6章 部屋
仕方がないと部長のYシャツを着れば、ブカブカのワンピースを着てるみたいになる。
「デカ過ぎ…。」
鏡に映る自分の姿に文句を言う。
浮気中の最低な女が私を睨み返して来る。
脱衣場を出て長い廊下の奥へ向かう。
ガラス張りの扉を開けた向こうには灯りを点けてない広いリビングが見えて来る。
こちら側が暗闇だから、L型に嵌め込まれた窓の向こうには夜空に輝く景色が浮かんでる。
凄い夜景だと息を飲む。
黒の家具で統一されたモデルルームのようなリビングのソファーに腰にタオルを巻いただけのだらしない男が座ってる。
肩から盛り上がる筋肉。
引き締まったウェスト。
誇らしげな肉体美を隠す事なくひけらかす。
「ビール…、取ってくれ。」
野太い声が命令する。
リビングの手前にあるキッチンに黒い冷蔵庫があるから、それを開けて見る。
やたらと大きな冷蔵庫なのに缶ビールとペットボトルのミネラルウォーターしか入ってない。
克と私の部屋の冷蔵庫は小さくて所狭しと食材が詰め込まれてるのに…。
部長の孤独を感じる。
だから私を欲しいと切なく部長が唸る声に私は縛り付けられる。
缶ビールとミネラルウォーターのペットボトルを持って部長の隣に座る。
天井が高い。
家具も高級家具だとわかる。
本革を使用したフカフカのソファー。
たかが百貨店の部長クラスで住めるマンションじゃない事だけは理解が出来る。
ここで克を捨てたら私ってお金目当ての現金な女だって世間からは言われるよね…。
素敵な部屋なのに…。
ため息が出た。
苛立ちをぶつけるように缶ビールを無雑作に部長へ向けて突き出す。
「開けろ…。」
部長がぶっきらぼうに命令する。