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幸せの頂点
第7章 軽蔑
最低の女…。
どんなに責められても仕方がないと覚悟する。
部長に抱かれた身体が怠い。
考えは纏まる事なく眠りの中へ落ちていく。
誰かに髪を撫でられる。
克だとわかってる。
すれ違いの日は必ず私の髪を撫でる。
私を起こさないようにと気を遣い優しく撫でて克は満足する。
克がベッドから出て行く。
静かな朝…。
疲れてる私に気を遣い続ける克に胸が痛くなる。
寝たフリで克を避ける。
克が出て行ってからベッドから出た。
寝不足の上に身体が怠い。
部長の激しい愛撫を思い出すだけで身体が疼く。
女としての頂点を身体に刻み込まれてる。
部長を求めて火照る身体を冷やす為にシャワーを浴びて誤魔化す。
遅番だとわかってて早めに出勤した。
今朝は私が発注した商品が入荷されてる。
何通かの書類に私が受け取ったと証明するシャチハタ印鑑を押してから荷物の整理をする。
崩れた売り場を立て直す作業に集中しなければ克を思い出して立ち止まってしまう。
克への裏切りを誤魔化す為に仕事をする。
プライドのない仕事…。
克と思い描いてた幸せがボロボロと崩れ落ちる。
お昼休みも取らずに売り場の立て直しだけでバックヤードを駆け抜ける。
不意に腕が掴まれた。
反射的にビクリと身体が強張る。
「今日はもう帰った方がいいよ。」
高崎さんが心配そうに私を見る。
「でも…。」
売り場はまだみすぼらしいままだ。
幻のトマトが入荷したのに…。
それを配置するレイアウトが惨めな状況のままなのが許せない。
僅か300しか入荷出来なかったトマト…。
3つずつを袋に入れて限定の100セットしか売り出せない希少な商品。
それを設置するのに相応しい売り場は未だに完成をしていない。