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幸せの頂点
第7章 軽蔑



「後は任せてよ。」


高崎さんが寂しく笑う。

もう百貨店は閉店してる。

これ以上の残業は出来ない。

自分に与えられた仕事がこんなにも中途半端だった事は一度もない。

間違いなく私も部長にプライドをズタズタにされたと逆恨みをしてしまう。

さすがに奥さんの話をしてくれた高崎さんに逆らう勇気はなく、諦めて帰るしかないと肩を落とす。

明日は休み…。

初めての本店勤務だからと普通は休めない土曜日の休みを譲って貰った立場で文句は言えない。

泣きたい気持ちのまま重い足取りで家に帰る。


「おかえり…。」


いつもと変わらない笑顔が私を迎え入れる家。

すれ違いばかりなのに…。

私の裏切りなんか知りもしない克が私の為にと笑顔を作る。

どんなに辛い状況でもお互いが笑顔で居れたら幸せになれると信じてる克は僅かでも私と会える瞬間は笑顔を絶やす事がない。

その笑顔に反して涙が出る。


「仕事が…。」


終わらなかった悔しさを克にぶつけてた。


「うん…、でも紫乃は頑張ったんだよね?毎日、遅くまでボロボロになって頑張ったんだから…。誰も紫乃を責めたりなんかしないよ。」


最低な女を克は純粋に慰める。

今は克に慰められるのが辛いと感じる私はますます涙が止まらない。

私は卑怯でズルい女なの…。

仕事仕事と言い訳をしては克を裏切ってる。

その背徳で仕事が疎かになった私は責められるべきであり、慰められるべきじゃない。

わかってて克にしがみつく。


「大丈夫…。紫乃は頑張ったんだよ。」


私の止まらない涙の為に克が私の髪を撫でて慰め続けてくれる。

部長と別れなきゃ…。

克を裏切りたくないの…。

克の優しさが好きなの…。

克を失うのが怖くて裏切りを隠す事に必死になる。


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