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幸せの頂点
第8章 店長



残り3つの袋のうち1つを私が手に取る。


「まさか阿久津さんが買うの?」

「今日の私はお客様です。」


ニンマリと笑って高崎さんを見れば高崎さんが


「売り切れたら…、明日の商品に困るよ?」


と呆れて笑ってくれる。

ただ嬉しかった。

前の店舗では1人で何でもやって来た。

ここでは高崎さん達に甘えていいんだと部長が教えてくれてる気がする。

トマトを買い、洋菓子の売り場でクッキーの詰め合わせを買う。


「上司が厳しくても紫乃の同僚は良い人ばかりみたいだね?」


ホッとした表情を克が見せる。


「もう1箇所、付き合って…。」


克を連れて3階のフロアに上がる。

初めて来るフロア…。

パーテーションで指揮られたショップが並ぶフロアをゆっくりと歩きながら私は探す。


「服が欲しいの?」


若い女の子向けの派手派手なディスプレイに克が目を丸くする。


「もう1人…、お礼を言いたい人を探してるの。」


お店を覗きながら、その人を探す。

見つけた。

そう思った瞬間にその人も私を見る。


「阿久津さんだー。」


彼女が声を上げて私の方に寄って来る。

胸の名札には岡田と書いてある。


「岡田さんにお礼の差し入れに来たの。」


地下で買ったクッキーを彼女に差し出せば岡田さんが克のように目を丸くする。


「里緒でいいよ。でも何でお礼?」

「売り切れになるトマトを教えてくれたから。」

「?」

「トマトが美味しいパスタ屋さんを教えてくれたのが岡田さんって聞いたよ。」

「岡田さんって止めてー。学校の先生の呼び出しを思い出すからぁ。あのパスタのお店に阿久津さんも行ったんだ。あそこは超美味しいよねー?」


キャピキャピの里緒ちゃんに克が瞬きをする。


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