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幸せの頂点
第8章 店長



「阿久津さんは今日は休み?」

「うん、今日はデート…。」

「彼氏?カッコいいー!里緒でーす。」


里緒ちゃんが克に向かって手を振れば克はアタフタと狼狽える。


「明日は出勤?」


里緒ちゃんが聞いて来る。


「うん、普通に早番だよ。」

「なら、阿久津さんもランチに行こう。限定の格安ランチの整理券を遅番の美優が取ってくれるの。」


なるほどと思う。

シフトを上手く利用して彼女達は美味しいお店を食べ歩く。

まさに情報の宝庫だ。


「行く行く。」

「んじゃ、12時に裏口で…。」


里緒ちゃんと別れてから克と百貨店の上の階にあるレストラン街に移動する。

ちょっと贅沢をして落ち着いた懐石料理のお店に克と入る。

テーブルの仕切りが高く個室を思わせる。

その上、窓から見る景色が最高で大人しか来ない静かなお店に絞んでた心が穏やかになる。


「心配するほどじゃなかったかな?」


私に過保護だったかもと克が言う。


「克の気持ちが嬉しかったよ。」


明日からの私はまた仕事を頑張れる。


「ボロボロになる紫乃を見るのは嫌だった。」


それが克の本音だと思う。


「ごめんね。でも仕事を頑張りたいの。また出張とか残業でボロボロになるかもしれないけど自分が納得出来る仕事がしたいと思う。」


辞める時は逃げ出すのでなく、自分の仕事に誇りを持って辞めたいと考える。


「わかった。」


克はもう何も言わないと決めてくれた。

ランチの後は買い物をして帰ろうと克が言う。

お気に入りのベーコンを買い、惣菜のコーナーでサーモンマリネのサラダや緑黄色のサラダも買う。

克との買い物。

久しぶりのデート時間。


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