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幸せの頂点
第8章 店長
3階のフロアにはカリスマな女の子が多いと里緒ちゃんが教えてくれる。
「ジュリの杏奈ちゃんなんか、絶対に並びたくない女の子だよ。」
里緒ちゃんが口を尖らせる。
ジュリはロリータファッションの店。
そこの杏奈という女の子はお人形みたいだとナナさんが笑う。
部長がこんな女の子達をぞろぞろと連れてランチに行く姿を想像しただけで吹き出しちゃう。
「遅いよ。里緒ちゃん。」
行列の中で泣きそうな顔をする少女が居る。
「この娘が美優。美優、整理券は取れた?」
「4枚ゲット!」
「出来したぞ。」
里緒ちゃんが美優ちゃんの頭を撫でる。
猫耳ファッションの美優ちゃんはゆるキャラ系。
かなりのインパクトがあるメンバーでわざわざ整理券を取って入ったお店はお寿司屋さん。
「ランチ限定の100食がなんと特上で800円!」
10貫の握りに細巻きが付いた贅沢なランチ。
「それって本当に安くない?」
驚く私にナナさんが笑う。
「端の方のネタらしいよ。でも特上には違いないからって整理券に並ぶ人が多いの。平日は難しいけど日曜日ならまだ空いてるから美優に並ばせた。」
行列の中でキャッキャッと笑う女の子達に感心する。
彼女達は本当に情報に通じてる。
お店に入り食事を始めれば普通の女の子の会話が始まった。
「阿久津さんの彼氏…、ヤバイケだよ。」
「マジー?」
「仕事も男もリア充ー。」
女の子パワーに圧倒されるのは相変わらずだとか思っちゃう。
「普通だよ…。」
アタフタと答える。
「仕事かぁ…。」
里緒ちゃんがため息を吐く。
「里緒、まだ悩んでんの?」
ナナさんが顔を歪める。