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幸せの頂点
第9章 感覚
その安らぎは一瞬で終わる。
「神威、こういうの彼女に着せて脱がせたい?」
姉がヒラヒラレースで出来たピンク色の透け透けベビードールを弟に見せつける。
「おう…。」
部長は平然と返事をする。
「お買い上げー!」
「はいっ!?」
1枚でン万円もする下着が次々と部長の返事だけで購入されていく。
この弟にしてこの姉だ。
絶対に姉は今日の売り上げを弟で賄おうとしてる。
雌ライオンは恐ろしいと学んだ。
「ありがとうございました。またのご来店お待ちしております。」
ゴージャスお姉さんに見送られて店を出た。
「お姉さんが居るなら居るって先に言って下さい。」
「なんで?」
「緊張するからですっ!」
「同じだろ?先に言えば、あれこれ考えて余計なミスを犯すのが人って奴だ。そのままの紫乃を見て貰うなら黙って連れて来た方が早い。」
部長が私をじっと見る。
「そのままの私?」
「俺にも、まだ紫乃のわからない部分がある。わかるのは紫乃が何かに我慢をしてるってくらいだ。」
部長の言葉にドキリとする。
「我慢なんか…。」
「我慢してるさ。俺に抱いて欲しいくせに俺から逃げ回る。」
「それは…。」
貴方よりも先に克に出会ってしまったから…。
克を裏切る事が辛いから…。
だから私は俯く。
「それが我慢だ。自分には似合わない地味な服を着て本当の紫乃の気持ちを隠してる。俺はそれが気に入らない。だから紫乃を俺が思う紫乃にする。」
その為だけに部長はこの百貨店に私を連れて来たのだと言う。
部長に言われるがままにブランドショップに連れ込まれる。