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スキンのアンニュイから作品を作ってみませんか?
第1章 天峰 颯【私の彼氏】


【だったら触ってみる?】

意外な言葉に驚いてスマホを落としそうになった。

「触ってって…」

正直…42歳にもなって男経験が私にはない。
バイトと勉強に明け暮れて学生の頃は恋愛のれの字もしてこなかった。
社会人になってからは認められたくてプライベートを犠牲にしてここまでやってきた。
そのおかげで今のプロジェクトに推薦された。

【こんなこという俺…嫌い?】

また考え事をしていた私にケイくんの落ち込んだメッセージが入り、そのままの想いを書き込んでしまった。

【そんなことないよ…ただ、こういうの初めてで…驚いているだけ】

送った後に“しまった”…と後悔した。
42歳にもなって初めてって…きっとドン引きされる。
世の中はそういうものだと何かの雑誌に載っていた…
だから彼とのつきあいもこれが最後かなと思っていると嬉しい答えが返ってきた。

【初めてなんだ…美和さんの初めてが俺だったら…うれしいな】

【本当?】

【うん。だって、好きな女の初めが俺だなんて、超幸せじゃない?】

その言葉に口角が上がる。
好きな女がって言葉に舞い上がり、彼の為なら何でもしてあげたいとか思ってしまう。

【美和さんって、大人のおもちゃとか持ってる?正直に答えてね】

舞い上がってる私に送られてきた言葉に、一気に顔が熱くなる。
大人のおもちゃ…
これまで男っ気ゼロの私だ。
興味もあったし、酔った勢いで買ったノーマルな物が1つだけある。
それをあると答えるかどうか考えていると、最後の一文が目に止まる。

―――――正直に答えてね

その言葉が魔法の様に正直に答えてしまった。
どんな返事が来るのか怖くてスマホを握りしめているとピコンと音が鳴った。

【それはローター?それとも俺のみたいな形?】

どんどん具体的になってくる内容にドキドキしながら、ケイくんの形のと送ってみた。

【じゃあ、それを俺だと思って優しく触って】

そのメッセージに会話の意図が見えた。
俺のを触ってみるからの流れ。
LINEをしている今、直接触ることはできない。
だからおもちゃを本物と見立てるというケイくんの提案。



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