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スキンのアンニュイから作品を作ってみませんか?
第4章 月乃 朔夜 様【青い空。】
「え。何で俺、泣いてんの?」
俺は一体、何を忘れてしまったんだろうか。
涙を拭いて、もう一度眠りにつく。
*****
「早く……、早く思い出して」
入院して2週間がたった。
今日も空は暗い。
梅雨の時期らしく、雨が降ったり、止んだり。
「日常生活には問題ないので明日からは自宅療養にしましょう。」
笹原先生が母親と俺に言う。
退院……こんな記憶ない状態なのに?
「記憶は前にも言いましたが無理に思い出そうとせずにゆっくりと。ふとしたときに突然思い出すこともあるので焦らずに。」
「本当にありがとうございました。色々とすみませんでした。」
母親が深々とお辞儀をする。
俺もそれに倣ってお辞儀をした。
顔を上げると、笹原先生は少し切なそうな顔で見ている。
けど、それは一瞬でまたすぐいつもの顔に戻った。
(……っ、た……俺はそんな顔を……い、わけじゃな……)
え? 頭ん中に響く声。
「い、ッ!!」
「龍斗!?」
「龍斗くん!?」
突如襲った頭痛で倒れそうになった俺を二人が支える。
「ごめ、頭痛くて……」