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寝とらせ白書①/妻が他人に抱かれる時
第5章 浅倉氏登場



「あっ、はじめまして。今日はお忙しいとこすいません」

顔を真っ赤にしながら詩織と一緒にペコリと頭を下げる。


「とんでもない、こちらこそ……あっ、奥様はじめまして」


浅倉氏は45度の角度で詩織に頭を下げた。
紳士的な挨拶に詩織も緊張が解けたのか軽く笑う。


浅倉氏の身長は俺と同じくらいで、頭も薄くはない。
多少お腹がメタボだが、それでも若く見える。
50代には見えない。


さあ、私の車へお乗りください」

浅倉氏は後部座席のドアを開き俺達を招いた。


「いや、お誘いしたのはこちらですから、僕らの車で──」

浅倉氏の車は総革張りの豪華シート。
俺の軽はチャイルドシートがあるため後部座席は大人一人がやっとという感じだ。


「いやいや、どうぞ遠慮なさらず さぁ 奥様」


「あ……すいません」

詩織が照れながら乗ってしまった。

「ほれ、旦那さんも乗って乗って」

男には冷たいようだ。


俺達は浅倉氏の好意に甘えホテルまで乗せて貰うことにした。


「今日も暑くなりそうですね」


浅倉氏はそう言い車を出した。
いつエンジンをかけたのか分からないくらい車内は静かだ。


「いい車ですね」

「いやー分かる?ワッハッハハ」
浅倉氏は豪快に笑い、

「三人でも入れるホテルを知っているんですが、そこでよろしいですか?」

と尋ねてきた。

「あ……お、お任せします」


浅倉氏は明るく、ホテルまで話が途切れる事が無かった。
決して下系の話はせず、紳士的な話ぶりはスワッピングのベテランにはおよそ見えない。

ただ……浅倉氏は喋る度に“ワッハッハハ”と大きく笑うのが少し下品だった。

「はい到着です」

「あ……」

見えてきたのは詩織を説得したあのホテルだった。


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