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碧の島
第6章 優しい人
その日、
家から食材を持ってきてお店で頂いたお肉を煮込み・・・・。
グツグツ・・・。
あ・・・いい匂い・・・。
別に誰かに食べさせるとか言う訳ではないけど、広い厨房を見たらなんか料理をしたくなった私。
実家で過ごしていた時はたまに母と一緒に料理をしたりした。
姉は食べる専門で作ることはしなかったけど・・・家族一緒に囲む食卓はいつも楽しかった。
父は仕事が忙しくて中々一緒に食べる事はなかったけど、週末は必ず家で食べた。
そして2週間に1回は家族で外食・・・。
そこであの俊也さんのお店に行きイタリアンを堪能していたの。
私の実家は南青山・・・駅は表参道。
もう行く事はないと思うけど・・・・。
広い庭もあって大好きだった・・・・。
会社にも近く、交通機関は一切使わず歩いて通勤。
お洒落なオフィスがある綺麗なビルで働かせていただいていた・・・・。
会社の人にも挨拶も出来ず退職・・・・。
大好きだったあの人の顔を見る事もなく・・・結局何も出来ず終わった私の恋。
あの人は元気かな。
菜箸を持ったまま一瞬考え事。
イヤイヤ、もう過去の事・・・。
大好きだったあの人も・・きっと・・・彼女と幸せに過ごしていると思う。
うん・・・。
私もそれを・・・。
願っています。