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第14章 有明月

『ほら早く。お姉ちゃんの血を分けた赤ん坊なんて、雅にとったら厄介者以外の何者でもないでしょう――?』

「違うっ! 厄介者なんかじゃないわ。月都には……お兄様の血も受け継がれている。私にはお兄様と同じくらい、大事なの――!」

雅と思われるほうが声を押し殺して必死に懇願したが、美耶子と呼ばれたほうは、一蹴した。

『……なあに? 名付け親になったからって、情が湧いたとでもいうの? 下らない……』

「お願い。私、初めてお兄様以外の人間を愛しいと思ったの。こんなこと、初めてなの……。それに、 お姉様の事をそんなに憎んでいるのなら、月都をあの世に連れていっては駄目。あの世で母子は再会して幸せになるわ! 美耶子はそんなこと、望んでいないでしょう?」

『………………』

「お願い、美耶子!」

『……やっぱり駄目。お姉ちゃんの遺伝子が、この世に残るなんて――』

美耶子と呼ばれたほうは、雅の必死の願いもむなしく冷酷に切って捨てる。

(月都が……危ない――!)

私はそっと足音を忍ばせて、階段を上がっていく。

全身からどっと冷や汗が出て、足が諤々と震えだした。

(美耶子って……まさか……)

話している声は両方とも、しゃべり方は違えども雅の声に聞こえる。

もしそれが本当なら雅は一人でそんな寸劇をしているというのだろうかと、私はうすら寒さを覚えた。

『大体、雅ったらなんで四ヶ月なの? その間の雅ったら見られたものじゃなかったわ。毎晩毎晩、愛しの月哉がお姉ちゃんを一つ屋根の下で抱いているのじゃないかって、泣いてばっかりで……。未練たらしく月光弾いて、月哉を呼んだりしてさ。さっさと殺しちゃってれば、そんなに苦しまなくて済んだでしょう?』


(―――っ!? なっ、何を言って……?)

私は何がなんだか分からなくなって、月都を助けに行くのも忘れてその場に立ち尽くした。

雅の一人芝居は思わぬ方向へと進んでいき、その内容は月哉を狼狽させるのに充分な内容だった。

(何故……、何故 雅が、私達夫婦のセックスに泣かなければならない? そんなのは、まるで――。まるで、雅が私を男として愛しているみたいじゃないか……)

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