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第4章 弓張月(ゆみはりづき)

「今日は不思議の国のアリスで、決まりだな」

月哉の不吉な独り言が聞こえ、今日は水色エプロンドレスか……と、雅は苦笑いして覚悟する。

「ありがとう、東海林」

兄に抱きついたまま、にっこりと東海林に笑いかける。

笑いかけられた東海林は、静かに微笑んで見せた。

「あ、それじゃあ高嶋さんもご招待しよう」

月哉が思いつきで口にしたことに、雅はぴくりと反応して身体を離す。

「敦子さん?」

「雅が五日間お世話になったのだから、保護者としてお礼をしないとね。雅も嬉しいだろう?」

月哉は雅の黒髪を梳きながら、さも当然のように雅に同意を求めてくる。

(いやよ! いやに決まっているじゃない――!)

「恐れながら社長、高嶋様のご予定をまずご確認させて頂きませんと……」

東海林が雅の気持ちを知ってかしらずか、助け舟を出してくれる。

「ああ、もちろんそうだね。じゃあ、東海林にお願いしていいかな?」

「かしこまりました、雅様もそれで宜しいですか?」

東海林が雅に同意を求めてくる。

(嫌だといえば、お兄様達は無理強いしないだろう……でもそれでは、取材までしたいと申し出たのに怪しまれてしまう……)

雅は余裕の笑みを作って、東海林に向かって了承した。

自分の席に戻りいつもどおりに朝食を取る。

月哉は「また後でね!」と言い残し、外出準備をしに使用人を連れて私室に戻った。

雅の紅茶を用意しに後藤が食堂を出て行くと、東海林と雅の二人きりになった。

「雅様……」

一昨日のこともあってか、少し硬い口調で東海林が声をかけてくる。

「東海林、素敵な申し出をありがとう」

雅はにっこりと東海林に笑いかけた。

(大丈夫、あの人は食事になんて行っている場合ではなくなるから――)






午前中は夏季休暇中の学園に登校した。

運動部の威勢のいい掛け声や管弦楽部のパート練習の音が、広い敷地内のいたるところから聞こえてくる。

雅は図書館で今回の取材中に疑問に思った事を調べ、その後中等部の生徒会執行部へ向かった。

空調の効いた廊下を歩き、扉まであと三メートルの所で妙に能天気な声に呼び止められる。

「み~~や~~び~~。久しぶり」

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