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第4章 弓張月(ゆみはりづき)

「雅は本当に優しい子だね。でも今日の事は高嶋先生だけでなく秘書達にも対応に問題があった。勿論雅には何の落ち度もない、雅が泣いて謝る必要なんてないのだよ」

私がここにいる必要はないだろうと、月哉は雅を連れて社長室へ戻った。

三人掛けソファーに腰掛けた月哉の隣に座ると、兄は辛そうな顔で雅の肩を抱いた。

「雅が心を痛めて泣くのを見たのは、雅が三歳の時からなかったよ、余程ショックだったのだね」

「……お兄様」

「高嶋先生は今回の事は残念だったが、次回から今まで通りに頑張って貰えるなら、続投して貰えるよう私から常務に話しておくよ」

「はい」

泣き止んだ雅を見て月哉は心底ほっとした顔をし、雅の制服の背中を撫でた。

「どうやらお兄ちゃんは妹君の涙にめっぽう弱いらしい。泣いて頼まれたら銀行強盗までもしてしまいそうだ」

月哉がおどけて見せると雅は「そんなこと頼みませんわ」と吹き出してしまった。

「やっぱり雅は笑顔でなくちゃね」

「………………」

(お兄様、私が貴方に唯一お願いしたいことは、私だけを永遠に愛して――よ)

ノックして入ってきた東海林は雅が泣き止んでいるのを確認し、敦子から本日のディナーは辞退する旨申し出があったことが伝えられた。

「そうか……残念だが雅の取材のお礼は、また日を改めてにしようか」

そう言った月哉の表情にそれほど残念そうな色も読み取れず、雅は兄と敦子はやはり一夜限りの過ちだったのだと安心した。

「東海林、もう今日は帰ってもいいかな?」

見るからに帰る気満々の様子で問いかける月哉に、優秀な秘書は苦笑いし車の手配をして参りますと退室した。

「今日はアリスだもんね〜。雅は何でも着こなしちゃうから」

月哉は何事もなかったかのように、帰り支度をはじめた。



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