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第5章 十三夜月(じゅうさんやづき)

翌日、雅は敦子に取材のお礼ができずじまいだったため、料理長に頼んでおいた焼菓子の詰め合わせを持って学校帰りに事務所を訪ねた。

しかし、木崎から木村と敦子が常務のところへ謝罪に行った事を聞かされて、本社へ向かった。

東海林に出向く旨を事前に伝えておいた為、本社に到着すると直ぐ社長室に通された。

月哉は会議中で不在だった。

秘書の女性がお茶を出し、ここで待つようにと伝えて退室するのを雅はおずおずと呼び止める。

「あの、高嶋先生と木村先生は常務のところに?」

「はい。常務は大層ご立腹のようでして高嶋先生を担当から外すよう、木村先生にお電話されたそうです」

女性秘書は言いづらそうに伝えると、今度こそ出ていった。

雅の幼い顔にくっと冷笑が込み上げる。

常務の女性蔑視は、治るどころか酷くなる一方だ。

(あの人を担当から外すよう手を回すことくらい、容易に想像出来ていたわ)

敦子が顧問担当を降ろされたら月哉とは接点が無くなり、二人の関係はこれ以上発展しないだろうと雅は胸をなでおろす。

出された紅茶を飲み終わる頃、月哉達が会議を終えて帰ってきた。

「お兄様、お疲れ様です」

少し疲れた様子の月哉の姿を見て、雅は本社まで来た自分に少し後悔する。

月哉は雅の座っているソファーに腰かけると、疲労の種について話し出した。

「雅、聞いていると思うけれど、高嶋先生の進退について常務から申し出があった」

「はい、伺いました。……それで考えてみたのですが、敦子さんももしかしたらその方が良いのかなとも思うのです」

月哉は雅の返事が予想外だったのだろう、驚いたようだったが先を促した。

「昨日、あれだけ役員の皆様の前で……その……罵倒されて……敦子さんも気まずいのではないでしょうか」

月哉は確かにそうだろうね、と雅の意見に同意する。

「しかし、今辞めてしまったら、高嶋先生の為にならないのじゃないかな」

「お兄様はお優しいですね」

雅は内心面白くなかったが、月哉に微笑みかける。

「雅が高嶋先生を慕っているしね」

「私……ですか?」

「ああ、お姉様と呼んで貰ったと、喜んでいらっしゃったよ」

「………………」

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