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ネコの拾い方…
第2章 その出会いがあったから…
そして叔父はとうとう泣き出した。
「叔父さんが?」
快感に流されかけて顔を歪める昌弘が聞く。
「そう…、大人のくせにボロボロと涙を流しながら僕に頭を下げて来た。」
嫌だと思った。
怖いとも思った。
何故、こんな人が本家の当主なのだ?
そう考える僕の足元で叔父は
「僕がもっとしっかりしてれば…。」
と呟き泣き続ける。
最後は泣き疲れた叔父が僕の足元で無邪気な顔をして眠る。
今、思えば叔父の心はもう壊れてたのだ。
「それって…イかせ屋のせいか?」
「そう…、イかせ屋に課せられた運命に耐えられなかった人だったという事だよ。」
イかせ屋が機能しなければ国が滅びる。
その事実を昌弘は知らない。
あの頃の僕にもわからなかった。
翌日、叔父は何事も無かったように
「また、おいで…。」
と僕に笑顔を見せた。
それは柔らかく暖かい笑顔だった。
とても穏やかで優しく、春の日差しのような笑顔…。
壊れた叔父の笑顔が僕の心の中に何かを刻み付けた。
それからの家族は相変わらずで、僕が叔父のようにならない為に厳しく僕に接し続ける。
小学校に入り、僕は夏休みが来る度に叔父のところへ預けられるようになっていた。
「叔父は何故か毎回、お子様ランチを僕に食べさせた。」
「不味いのにか?」
それが不思議と不味くなかった。
僕が居ない間に叔父が努力したのか?
それとも叔父の不味い味に僕が慣れたのか?
お子様ランチは5年間も続けられる。
「5年生になったらお子様ランチは卒業だろ?」
昌弘が僕を茶化す。
「そろそろ…、イキたいの?」
言っておくが僕はまだ満足してない。