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ネコの拾い方…
第2章 その出会いがあったから…



このまま余計な話を止めて、昌弘と快楽だけの欲望を満たしたいと気持ちが逸る。

だが今夜だけは溺れる訳にいかない。


「そのパーティーである男の子が僕を見てた。」


昌弘の胸を撫でながら話を続ける。

この先を話すべきかと今更躊躇う。

僕の心の変化を感じる昌弘が笑う。


「まさか、その少年が清太郎の初恋だとか言わねえよな?」


昌弘の質問に少しムカつく。


「前に言ったはずだ。僕がネコだと自覚したのは昌弘と出会ったあの日が初めてだと…。」


自分の後ろめたさを隠すように堂々と言い訳をする。


「だけど、その少年と何かあったから話すんだろ?」

「それが悪い?」

「悪くないと思う。けどさ…、俺が藤原一族じゃない他人の話を清太郎から聞くのは初めてだとだけは言っておく。」


昌弘に図星を突かれて言葉を失った。

僕は他人の話をした事がない。

店の話もしなければ、イかせ屋の顧客の話も絶対にしない。

もっぱら昌弘に話すのは甥である昌(あきら)の事ばかり…。

僕がゲイで子供を作れない男だからと姉の子だった昌が次の藤原家当主となる。

今までの僕は跡取りである昌の事を昌弘と一字違いで大違いだとか、その程度の話しかした事がない。

昌が結婚して3ヶ月…。

今、昌の嫁は妊娠5ヶ月…。

昌は自分の跡取りを自分の息子に託せる強い男になった。

もう僕が藤原の当主である必要はない。

僕が当主を引退した時に、昌弘と結婚すると約束した。

2人で気ままに静かに暮らしたい。

日本を出て暖かい小さな島で毎日を海を眺めるだけの退屈な生活がしたいと昌弘は言う。

平凡なサラリーマンという立場の昌弘らしい夢だと思う。


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