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ネコの拾い方…
第2章 その出会いがあったから…
「2年って事は小学校の4年の時には、そんな経営を考えてたって天才少年かよ…。」
昌弘が目を丸くして僕を見る。
「彼は小学校に入学する頃から、既にその才覚を見せてたらしい。周囲の大人が騙されたと思って彼の意見を受け入れたら店の売り上げが倍になったとか…。」
「藤原の店も、そいつが居たらもっと凄い事になるって話か?」
「藤原は彼が居ても関係ない。藤原は2000年変わらないやり方と味を守る店としてこの国では唯一無二の存在だからね。」
だから叔父がそんな企業のパーティーにわざわざ出向く意味なんかなかったはずだ。
なのに叔父はその少年に興味を持った。
そして僕に会わせる為に僕をそこへ連れてった。
少年は割りと綺麗な顔をした普通の少年に見える。
少し生意気な猫のような表情をする少年…。
その子が僕をジッと見る。
既に、この財界で才能を示した子供…。
僕は藤原の跡取りだと厳しい教育を受けて来たというのに、頼りない叔父は未だに本家を継ぐ意味を僕に教えてくれない。
叔父が藤原本家の跡取りとして望む子はその少年のような天才でなければならないという意味なのだろうか?
だとすれば僕が藤原に相応しく生きる為に努力して来た全てが否定された気分になる。
あの少年が天才…。
僕は僕を見る少年を睨み返す。
「なあ、お前の名前は?」
僕とは違うイントネーションを使う言葉で少年が聞いて来る。
「藤原…、藤原 清太郎。」
「清太郎か…、何歳や?俺、吉岡 遼(りょう)。小学6年や。」
「5年だよ。」
「へー、お前、どっから来たん?」
「京都…。」
「嘘やろ?お前は京都弁とちゃうやん。」
遼はやたらと僕に質問する。
大きな目をキラキラと輝かせて興味津々で僕の心に割り込んで来ようとする図々しい少年だった。