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ネコの拾い方…
第2章 その出会いがあったから…
その夜…。
僕と叔父はパーティーが行なわれたホテルに泊まる事となった。
「もう少し、遊んで行こうね…。」
叔父はのんびりと言う。
遊ぶ?
何をして?
何故?
今の僕にそんな暇があるのか?
僕には叔父が言いたい事がわからない。
毎年、京都に来る僕の夏休みは遊んでる状況と変わらない。
東京の家だと勉強時間と料理人としての修行時間だけで精一杯の生活だけど、京都では叔父が何もしなくて良いと言うから退屈なだけの毎日を嫌う僕は自分で勉強して料理人の修行を独自で行う。
そんな僕を叔父は悲しげに見るだけの毎日…。
大阪に来たからと言って僕の状況が変わるとは思えない。
友達なんかいない。
学校でも藤原は自分達とは違うからとか言われて遠巻きに僕を見るような連中しか居ない。
そんな無意味な友人は要らない。
どうせ僕は藤原の子になる。
藤原の当主になれば僕は結局孤独になるだけだ。
藤原の名を目当てにする人間ばかりが僕の周りに遠巻きに集まって来るとわかってる未来は今の自分と変わらない。
「俺…、お前のそういうとこが嫌いだ。」
ふと現実に戻すように昌弘が僕の顔を撫でる。
「そうだね。だけど僕はそんな風に育てられた。それが藤原を継ぐ者の運命だと…。」
「今もお前は孤独か?」
昌弘の質問に僕の胸の中で何かが熱くなり、それが胸の奥へと痛く刺さる。
「今は…。」
昌弘が居る。
藤原を昌に譲った瞬間に僕の世界の全ては昌弘だけになる。
もしも、孤独だとすれば僕はきっと叔父のように壊れるだけの人間になってただろう。
叔父はあまりにも孤独過ぎた。
あの藤原の当主として孤独なまま寂しくて、僕を見る度にいずれは藤原を失うのだと恐怖に苦しみ壊れ続けた。