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ネコの拾い方…
第3章 ただの凡人だから…



僕よりも大きな手がとても暖かく僕の手を包むのに、それに反して僕の手は恐怖で冷たくなっていく。

僕は当主になれないかもしれない。

京都までの道のりを車が走る間中、その事を考える。


「清太郎、大丈夫やからな。」


根拠の無い言葉を言う遼が笑顔で僕を見る。

根拠は無いのに…。

天才の言葉に心が落ち着いて来る。

車が藤原の屋敷の前に着くと遼が


「お前ん家…、すげー…。」


と言い目を丸くする。

僕が車から降りると叔父が門の前に出て来る。

僕にはこの叔父の考えが理解出来ない。

理解出来ないから叔父に掛ける言葉が見つからない。


ごめんなさい…。


子供らしく素直にそう言うべきなのか?

そんな平凡な子供は藤原には必要無いと言われるのだろうか?

不安で胸が締め付けられて息が出来なくなる。


「オッチャン、ごめんな。清太郎を叱らんといてな。京都に帰る時間とか俺、聞いてなかったさかい。」


遼が僕を庇おうとして前に出る。

そんなのは僕のプライドが許さない。

天才に守られてるだけの平凡な惨めな子にはなりたくないと考えてしまう。


「遼、もういいよ…。遅くなって申し訳ありませんでした。今日は吉岡さんにまでご迷惑をおかけした事を反省しております。」


遼の影に隠れてるとか、みっともない事は藤原の当主として相応しくないと思う僕は胸を張って叔父に言う。


「うん…、おかえり。京都から急ぎの仕事が出たと連絡が来てね。どうしても帰る必要があったから清太郎の事は吉岡さんにお願いするしかなかったんだよ。」


叔父は穏やかな笑顔のまま話をする。

だけど叔父の視線は僕にでなく遼に向いている。

叔父の考えが全く読めない。


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