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ネコの拾い方…
第3章 ただの凡人だから…



叔父が求めてる子は僕でなく遼なのか?

僕は遼のように才能を見せなければ叔父は僕に当主について教えてくれないのかもしない。

遼と遼の父親が帰ると叔父は僕に背を向けたまま


「明日、少し話をしよう。」


とだけ言う。

その夜は眠れなかった。

僕はもう要らないと叔父に言われると思うと怖くて泣きたい気分にしかならなかった。

翌日、僕は庭が見える以外は何も無い和室で叔父と対峙する。


「昨日は楽しかった?」


着物を着て背筋を伸ばし正座する叔父の雰囲気はいつもの頼りない叔父とは大違い。


「そうですね。とても珍しい体験でした。」


僕は落ち着いて叔父に答える。

ふと叔父が穏やかで柔らかい笑みを浮かべる。


「彼と、また遊びたいと思うか?」


叔父の質問に少し戸惑う。

遼ともう一度会いたいか?

友人の居ない僕には遼という存在は貴重な人間だとは思う。

だけど…。


「いえ、僕に遊んでる時間はありません。」


と優等生の答えを僕は返す。


「そう…、そうだね。それが藤原に必要な事だ。君は僕があれこれ言って教える必要の無い子だと思う。」

「いえ、僕はまだ子供で教えて頂く事がたくさんあります。」

「大丈夫、焦る必要は無い。藤原に必要なのはどんな状況でも自制心を保てるかと言う事だ。」

「自制心ですか?」


ここで初めて叔父から藤原の当主になる基本を言われる。


「食欲、性欲…、それらは人の本能だ。その本能ですら藤原は捨てて自制心を保たなければならない時がある。」


遠回しだが、それは事実…。

イかせ屋の仕事中にいちいち顧客の女性に本能のままで欲情してたら仕事になんかならない。


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